MIRAIが目指す未来の医療

事業理念

理念・目標

事業ビジョン/参入分野

私たちの強み:データ/AI技術

DiagnosisNN

1980年代、鳥越恵治郎氏は、一人でこのプロジェクトを開始した。以来40年間、65万余りの病名データ収集を進めた。当時も今も国内では所見の表し方や病名について統一したものがなく、医師個人の感覚と処方権に任せられている。データベースの構築にはこの統一が必須である。現時点で、DiagnosisNNとそれに入力した65万余りのデータセットがある。教科書レベルの医学会のすべての分野の、すべての病名が含まれている。

Medical Innovation

医学や介護学は、18世紀の英国で論じらて以降伝統になっている「ネイマン・ピアソン」統計学(仮説検定)に基づく体系となっている。この方法では、一つの事象の成否は実証できるが、二つ以上の複雑系は同時には実証できないという欠点を持っている。私たちは「ベイズ」統計学に基づくベイズ推定で、この複雑系に挑む。医学、介護学は統計学という数学に根差した事実関係の認定学である。本事業では、従来のネイマン・ピアソン推定一辺倒だった領域に、AI※を使ったベイズ推定でのエビデンスを取り入れる

※「DualcoreAI®」標準もしくは重要な部分を指示AIとして教師役を担わせ、実施AIでベイズ推定に基づくデータと次に指示AIに学習させる内容を判断させる。あたかもお互いが切磋琢磨してより正確で効果的に機械学習が自動的にできる仕組み。現在特許申請中。

関連文献・記事

  • Evaluation of a Web-based Diagnosis Remainder System for Difficult Diagnostic Reasoning. Journal of Health Science 5 (2017) 107-109.
  • Potential Usefulness of Diagnostic Reminder as Web-based Clinical Decision Support System. Journal of Health Science 4 (2016) 297-303.
  • Toward the future of medical diagnosis using AI Computer-Aided Diagnostic Decision-Support System;CADDSS; Diagnosis Reminder. 特集論文 ジェネラリスト×AI 14 (2020) 84-93.
  • Computer-Aided Clinical Diagnostic Decision-Support Tool. Japan Medical Journal 4120 (2003) 24-32.
  • 内科領域におけるコンピュータ診断の試み. 日本医事新報 3131 (1984) 29-31.

解説ネイマン・ピアソンとベイズ

条件

目の前にツボが1つあり、AのツボかBのツボであり、見た目は同じ。ただし、Aのツボなら9個の白球と1個の黒球が入っており、Bのツボなら2個の白球と8個の黒球が入っていることは前提知識として知っている。いま、ツボから1個球を取り出したら黒球だった。このとき、目の前のツボがA、Bどちらのツボであるかを推定したい。

【ネイマン・ピアソン統計学】

仮説検定で次のように推定する。まず、「ツボAである」という仮説を立てる(帰無仮説)。仮説が正しいなら、小さな確率αでしか観測されない現象を設定する(α=有意水準)。ここでは、「黒の球を取り出す」現象を設定する。この現象の確率はα=10%である。
次に、この現象が観測されたかを確かめる。もし観測されたなら、「仮説が正しいならきわめて小さい確率でしか観測されないはずの出来事が、実際に観測された」という理由から、「仮説は正しくないだろう」として仮説を捨てる(棄却する)のである。今の例の場合、黒い球を観測したから、「ツボAである」という仮説を捨て、「ツボBである」と結論する。

この推定方法にはリスクがある。仮説が正しく、目の前のツボがAであっても、10%の確率で黒球を観測する。したがって、この方法で結論を下す限り、10回に1回の割合で「本当はツボAなのに、間違ってツボBと結論してしまう」。有意水準αを小さく設定すればするだけ、間違いの確率を小さくすることはできる。

【ベイズ統計学】

まず、事前確率を設定する。これは、黒球を観測する前の段階として、ツボAなのかツボBなのかについての当座の確率を割り振ることである。全く情報がないので、理由不十分の原則から五分五分と割り振る。次に黒球を取り出した、という情報を利用して、ツボAなのかツボBなのかについて、確率のベイズ更新を行う。更新された確率は、事後確率と呼ばれる。黒球を取り出したという情報によって、ベイズの展開公式を用いて

「ツボAである」の事後確率は(1/10×1/2)/(1/10×1/2+8/10×1/2)=1/9、

「ツボBである」の事後確率は(8/10×1/2)/(1/10×1/2+8/10×1/2)= 8/9と計算される。

このように、ネイマン・ピアソン統計学とは異なり、ベイズ統計学では、「ツボAだ」とも「ツボBだ」とも結論を出さない。可能性の比例関係を出すだけである。9分の1という確率(ツボAの事後確率)がリスクとして小さいと感じるなら、「ツボBだ」と結論すればいい。

解説ベイズ統計

ベイズの基本公式

P(H|D)は原因の確率で、データD(結果)が得られたときの原因(仮定)がHである確率(事後確率)。
P(D|H)はその逆確率(原因がHであるときにデータがDである確率)で尤度とも呼ぶ。
原因がH1、H2、H3・・・と複数ある場合、かつこれらには条件にダブりがない(独立変数)とすると、

ベイズの基本公式

この式の意味は「データDが得られる確率は複数の(独立した)原因から生じた和」ということで、

ベイズの基本公式

例えば原因が3つの場合は右図のように表現できる。
乗法定理からP(D)は、

ベイズの基本公式

この式をベイズの基本公式に代入すると、

ベイズの基本公式

データDが原因(独立変数)がH1、H2、H3・・・ Hnの“どれか一つから生成される”と仮定すると、
そのデータDが原因Hiから生じる確率𝑃(𝐻𝑖|𝐷)は、

ベイズの基本公式

本システムにおいて、 𝐻𝑖は「病気(病名)」、Dは「症状」ということになる。